一万年もの間、途絶えることなく人々が暮らし続けた「形が見える」のが
標津遺跡群です。そして、一万年もの間、途絶えることなく秋の遡上を繰り返し、
人々を支えた根室海峡の鮭の故郷の一つが、標津遺跡群の中を蛇行しながら流れるポー川です。
標津遺跡群は、主に伊茶仁川、ポー川流域を中心に分布する遺跡群の総称です。
1万年前の縄文時代早期から約800年前の擦文時代に至る竪穴住居跡や、約500年前の
アイヌ文化のチャシ跡などが残されています。その最大の特徴は、竪穴住居跡やチャシ跡が、
現在の地表面から窪みとして観察できることにあります。竪穴住居跡窪みの総数は、
約4,400か所に達し、日本最大規模を誇っています。遺跡群の内、伊茶仁カリカリウス遺跡、
古道遺跡、三本木遺跡の3つの遺跡が、国の史跡として指定されています。
竪穴住居は、新石器時代を代表する住居形式で、地面を掘り窪めて上に屋根を
かけた半地下式の構造をしています。気密性と断熱性に優れた住まいとして長期間、
選択されてきました。
![](https://www.heritage-of-salmon.com/wp-content/themes/heritage-of-salmon_wp/img/mirushiru/02_shibetsuiseki02.jpg)
史跡伊茶仁カリカリウス遺跡残雪の竪穴群窪み
![](https://www.heritage-of-salmon.com/wp-content/themes/heritage-of-salmon_wp/img/mirushiru/02_shibetsuiseki03.jpg)
カリカリウス遺跡の復元住居
標津遺跡群周辺には、80ヵ所に及ぶ湧き水の泉が存在します。
地熱の影響を受けている湧き水は真冬でも決して凍ることがないため、
人々はこの水を求め、竪穴住居を泉の近くに築きました。
泉は動物たちにとっても貴重な場所でした。特にサケの仲間にとっては、
産卵床として重要です。大昔の人々は、この泉から水だけでなく、
越冬の保存食として貴重なサケも手に入れることができたのです。
標津遺跡群の中核遺跡、伊茶仁カリカリウス遺跡の「伊茶仁」は、
アイヌ語で「サケが産卵するところ」を意味し、アイヌの人々も、
ここが多くのサケが集まる場所と認識していたことがわかります。
遺跡を発掘調査すると、あらゆる時代の竪穴住居跡から多量の
サケ科魚類の骨がみつかります。しかしサケだけでは一年を通した暮らしは
支えきれません。遺跡を残した人々は、普段は根室海峡沿岸各所の様々な場所で、
その土地の資源を手に入れて暮らし、秋サケ漁の時期になると、
沿岸一帯から標津遺跡群に集まり、皆でサケを獲って共同生活していたと考えられています。
標津遺跡群パンフレット(PDF)を見る
標津遺跡群では、ガイドツアーを行っています。ポー川史跡自然公園内に息づく豊かな自然や、
考古学的・民族学的にも貴重な場は、ここに身を置くことで初めてわかる、
北方先住民の世界をかたちづくっています。多様な自然景観の中に残る、無数の古代住居のくぼみ。
その一つ一つが、文字文化を持たなかったアイヌの人々の歴史の深さを、私たちに物語っています。
標津遺跡群ガイドツアーは、数千年の歳月をかけて遷移し続ける標津湿原や、
時代を超えて人々の暮らしを支え続けた湧水の泉、遺跡の時代に芽吹いた巨木など、
標津遺跡群のみどころをガイドとともに巡るツアーです。
また、通常は立ち入りを禁じられているポー川のカヌー体験も実施しています。
標津遺跡群ガイドツアー、ポー川カヌー体験は下の「予約」からお申込みいただけます。
所要時間:2時間30分
受け入れ期間:毎年4月29日~11月23日
人数:10名まで
出発時刻:9:30~、13:30~ ※このほか臨時ツアー設定期間あり
ツアー料金:2,500円(ガイド料・保険料・入園料込)※中学生以下無料
受付・集合場所:ポー川史跡自然公園ビジターセンター前
お問い合わせ:南知床標津町観光協会 電話番号:0153-85-7246
- ・湿原や森の中の木道、林道を約2.5㎞歩きます。歩きやすい履物でお越しください。
- ・当日は出発時刻の10分前までにお越しください。
- ・少雨の場合も通常通りツアーを行っておりますが、荒天(強風、豪雨など)やヒグマ出没により中止する場合もございます。
- ・雨具の貸し出しはございません。雨天時には雨具(カッパがおすすめ)をご持参ください。
- ・湿地帯を歩くため、7月~9月はアブや蚊が多く発生します。長袖、長ズボンの着用、虫よけスプレーの持参など、十分な防虫対策を行うことをお勧めします。
- ・トイレはツアー出発前にお済ませください。
- ・園内の動植物等は採取、持ち出しをしないようお願いいたします。
- ・園内は禁煙です。
- ・ペット同伴での入園はできません。
- ・ツアーコースは通常の歩行、階段の上り下りができれば参加可能なコースです。
- ・歩道が整備されていますが、何箇所か階段がございます。車イス・ベビーカーでの参加はご遠慮いただいております。
<コースについて>
所要時間:2時間
受入期間:毎年6月~10月(年毎に異なるためお問合せください)
人数:1組(6名まで)
ツアー料金:大人6,000円、中学生以下4,000円(ガイド料・保険料・入園料込)※体験終了後、公園内の散策も可能
申込み:2日前までに事前予約が必要
集合場所:ポー川史跡自然公園ビジターセンター
お問合せ:南知床標津町観光協会 電話番号:0153-85-7246
- ・湿原を流れるポー川での、約3.5㎞のカヌー体験です。動きやすく、多少の水しぶきを浴びても支障のない服装、履物でお越しください。
- ・当日は出発時刻の10分前までにお越しください。
- ・少雨の場合も通常通りツアーを行っておりますが、荒天(強風、豪雨など)やヒグマ出没により中止する場合もございます。
- ・雨具の貸し出しはございません。雨天時には雨具(カッパがおすすめ)をご持参下さい。
- ・湿地帯の川をカヌーで航行するため、7月~9月はアブや蚊が多く発生します。長袖、長ズボンの着用、虫よけスプレーの持参など、十分な防虫対策を行うことをお勧めします。
- ・トイレはツアー出発前にお済ませください。
- ・園内の動植物等は採取、持ち出しをしないようお願いいたします。
- ・園内は禁煙です。
- ・ペット同伴での入園はできません。
- ・コースは通常流れの緩やかな川を利用するため、初心者でも参加可能なコースですが、カヌー乗船の際は必ずライフジャケットを着用していただきます。
- ・身長120㎝以上から参加可能です。
<コースについて>